先日ご紹介した都築響一氏の写真集『TOKYO STYLE』。1990年前後の若者の部屋を撮り溜めた素晴らしい写真集です。(参考記事:『TOKYO STYLE』都築響一はバブル崩壊の先を見ていた リアルな1人暮らし・ルームシェア部屋写真集)
先日改めてこの写真集を手に取り、今は存在しないであろう部屋の数々を眺めていた所、技術革新やライフスタイルの変化により、今は使われなくなったモノがたくさんあることに気がつきました。

↑ デザインの可愛らしさから「レトログッズ」としても人気がある黒電話。けたたましいベル音。
それら今の生活から消えてしまったモノ、あるいは消えゆく運命を辿っているモノをピックアップしてみました。多くはパソコン、メディア、通信関連のモノで、この20年間のライフスタイルの変化を改めて感じさせられます。
これらのモノ、「現在でも部屋にあるよ!」という方も多いと思いますが、「引っ越しで家財一式を新たに揃える時に、今さら買わないかな」というのを基準に集めてみました。
◎ラジカセ、CDラジカセ
まだまだ当時は「ラジオ」と「カセットテープ」はミュージックライフの必需品。ラジオの音源を「エアチェック」(番組を録音)するのも当たり前でした。量産されるカセットテープは棚に山積みに。CDは現在もまだまだ流通していますが、買う人は減りました。
◎大型ステレオコンポ
アンプ、カセットデッキ、CDプレーヤー、ラジオチューナー、スピーカーがワンセットになった黒くて大きい重厚なコンポ。当時は憧れでしたね。僕は高校受験の合格祝いに買ってもらったコンポを未だに使っています。20年間、故障知らず。
◎ビデオデッキ
まだテレビは国民的娯楽であり、学校では番組を録画した「ビデオテープ」を貸し借りする光景がよく見られました。そして、たまにクラスで回ってくるエッチなビデオにもドキドキしたものです。ビデオテープもカセットテープ同様かさばるので、床や本棚に山積みに。
◎電話機・子機
一部ジーコジーコ回す黒電話を使っている家もありましたが、大方ピポパ、の電話でしたね。ご存知の通り携帯電話の爆発的普及により、固定電話は減少。特に若者の一人暮らしで現在、固定電話がある家は少ないでしょう。街を歩いていて、電話のベルの音が家から漏れ聞こえることが少なくなりました。
◎Macintosh(クリーム色)
クリーム色のかわいい箱。デザインや絵をかじっている友人の家には大概ありました。PC関連のデバイスは20年でデスクトップタイプの他にノート、タブレット、スマホと、すっかり多様化。データのやりとりはフロッピーディスクでしたが、後にMOへ。
◎ワープロ
windowsの普及前は当たり前のようにワープロで文書を作成していました。今使えと言われても操作法は忘れてそう。思えば僕が子どもの頃(30年前)は、母がタイプライターでガチャガチャと仕事をしていました。ワープロだって新技術でした。
◎FAX、FAX付き電話
決して絶滅したわけではありませんが、大方の事はメールでやりとり出来るようになっています。当時は若者でもフリー、個人事業主はFAXがないと仕事になりませんでした。
◎アナログテレビ・テレビデオ
図体のデカいアナログのテレビはデジタル化により風前の灯火。一応チューナーを取り付ければまだ使えますけどね。当時のテレビは本体にチャンネルボタンがついていたり、ガチャガチャハンドルが付いていたり、リモコン依存度は今より低め。また、テレビ・ビデオ一体型の「テレビデオ」なんてのもありました。特に機械に弱い女の子には接続が楽なので、テレビデオは人気でした。
◎スーパーファミコン
ファミコン時代を経て、スーパーファミコンへ。任天堂の時代。ゲームは家でテレビに向かってやるのが当たり前、友人が集まっての徹夜の「桃鉄」大会開催など、家庭用ゲーム機の全盛時代でした。現在は家庭用ゲーム機のほか、ネットのオンラインゲーム、スマホ、携帯型ゲーム機など、場所にこだわらず多様なゲームが楽しめます。
◎目覚まし時計
これはまだまだ現役で使う方も多いでしょう。ただ、僕の安普請のアパートでは携帯電話のバイブ音で目覚める人々が多いようです(結構響く)。日時や曜日をデジタルで細かく設定できるので、携帯電話を目覚まし用に使用する人は増えています。以前のように、消し忘れた目覚まし時計が夕方の六時頃にピピピピ!!!!と鳴りっぱなしになってしまう光景も減りました。
◎その他
その他に見られたのは「サンタフェ(宮沢りえ写真集)」「ウォークマン・ディスクマン」「オープンリール」など。「JAVA TEA」「サイコロクッション」などはまだ売られているようですが、懐かしさを感じさせます。
■消えずに残っているモノ
キッチン用品、食器、炊飯器、掃除機、洗濯機などはデザインは変われど本質的に使われ方は変わっていません。ギターや電子ピアノなど楽器類もそれほど変化しませんね。この辺は既に機能として完成されているということでしょうか。
それと、昭和のニオイのする「扇風機」「電熱ストーブ」「レコード」などはアナログの良さが逆に評価されているのか、まだまだ生き残っています。同じくそのアナログ性が評価されている「紙の本」は、今後どうなっていくでしょうか。
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